新しいプロダクトを考えるとき、私たちはよく「どんな課題を解決するか」「何が便利になるか」から考える。

入力の手間を減らす。

操作を分かりやすくする。

これまで一時間かかっていた仕事を、十分で終わらせる。

もちろん、どれも重要である。

しかし、長く使われ、生活や仕事の一部になるプロダクトは、単に便利なだけではない。

それを使い始めたことで、以前のやり方が急に不自然に見える。

人が自分で管理していたことを、管理しなくなる。

毎回考えていたことを、考えなくなる。

我慢していた不合理を、我慢できなくなる。

優れたプロダクトは、作業を少し楽にするだけではない。

人と現実の関係そのものを変える。

この記事では、そうしたプロダクトがどのようにつくられるのかを、仕事の構造、体験の設計、企画の進め方から整理する。


一般的な認識:良いプロダクトは、複雑なことを簡単にする

使いやすい業務サービスには、共通する特徴がある。

ECであれば、商品を登録し、注文を受け、決済し、発送する。

問い合わせ対応であれば、相談を受け、内容を確認し、回答し、完了する。

日程調整であれば、候補を出し、相手に選んでもらい、予定を確定する。

こうしたサービスでは、始まりと終わりが分かりやすい。